波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

※当ブログでは商品等の表示にアフィリエイト(広告)プログラムを利用しています。

ク・ナウカ「王女メデイア」東京国立博物館本館特別5室


原作:エウリピデス、台本・演出:宮城聰、出演:美加理、阿部一徳ほか
7/30(土)ソワレで観た。かなえちゃんと。話は5月の蜷川メディアと同じでもちろん同じ台詞も多いので、演出の違いを味わう。こちらは女やアジアへの差別意識に焦点を当てて、舞台の上は明治の名士の宴会。原作の中の差別意識(と恐れの意識)と重ね合わせて露骨に男によるシステムvs.その外の力の話になっている。その呈示も極端で刺激的だけど、最もすごいのは美加理の動き。今回台詞は全て男性、動きは女性が担当していて、メデイアの動きをしているのだが、動きがもはや人じゃないような印象で、がくんという大きな動きが多いのに近くで見ても涼やか。この動きがあるので超システムの力を誇示する舞台がリアリティをもって支えられていると思った。それにつけてもギリシャの昔の市民(男性)はどうこの話をとらえていたのか不思議です。文明では捉えられないものが多くてこわいと思っていたのか。馬鹿にするには女が強すぎる話だと思うのですが…
会場は博物館の中。コロスの声が重なると残響で聞き取れなくなる。前にやった東洋館の方がよかったな。