波打際の舞台日記

演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いていこうと思います。

「ストレンジシード静岡」「マダム・ボルジア」

ふじのくに野外芸術フェスタ2019
「マダム・ボルジア」
制作:SPAC
作:ヴィクトル・ユゴー
構成・演出:宮城聰
音楽:棚川寛子
出演:美加理、阿部一徳、大内米治ほか
駿府城公園 紅葉山庭園前広場 特設会場

2019.5.3.に参加。周りの会話からすると、東京圏からの参加者はかなり多いと推測する。

まずはストリートシアターフェス「ストレンジシード静岡」。大道芸のように芝居やダンスを街頭で見せるというのが目的と思われる無料(投げ銭方式)のイベントで、各演目は30分くらい。主に市役所周辺で行われて、屋外なのが季節的にきれい。人は結構集まっていたけど、観覧スペースが広いのとマナーが良く、座ってよく見えた。勢いで6つ見てしまって、お尻が痛い・・・。名前が売れている人・団体もいくつかあって、これだけ観られると、ショーケースとしてすごくいい。

観たのは、ロロ、ままごと×康本雅子、Mt.Fuji「プールサイド」、Magic Fabrik「INCOGNITO」、ホナガヨウコ企画「鳥式」、BATIK「モニカモニカ」。

ロロの「グッド・モーニング」が良かった。高校生の敏感な自意識と距離の取り方の難しさを繊細に、かつ小沢健二の歌を大フューチャーしてポップに描いて、学校の横の自転車置き場という舞台ならではの物語だった。

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「マダム・ボルジア」はルネサンスの成り上がり貴族の悪女の話。西洋では毒殺や近親相姦で有名な稀代の悪女らしい。悪女の美加理と聞いてサロメの首みたいなのを想像していたら、悪女感は薄くて母と子のねじれた愛情が全面に出た舞台だった。(ちなみに期待が極端だっただけで、充分に残酷な役。)権力奪取の話でもないので、舞台がイタリアのルネサンスであることも、一応日本の戦国時代に仮託した設定も、必要ない感じがする。会場が野外の駿府城公園なので、日本の戦国時代は場に馴染むけれど。

舞台はなんと贅沢に2面あり、場面転換に伴い、観客も移動する。整理番号で国(三河とか遠江とか)分けしたのは、ちょっと参加感があって楽しかった。が、移動と説明の時間も相当掛かったので、それだけの効果があったのかどうか。中盤までのなんだかマイルドな感じを補いたかった?

終盤になって、悪人であるところが前面に出ると、自分自身の因果応報感が出て、舞台がぎゅっと締まる。演出的にもドキッとするシーンで盛り上がった。周りの木のライトアップも美しく。

つまるところは、悪人の形はそれぞれだが、善人の形は類型的になってしまうということなのかもしれない。そして私達はゴシップが好き。ついつい舞台映えする悪の物語に目がいってしまうけれど、無償の愛のロマンもちゃんと伝わってきた。母から子への愛が主役だけど、子から母への愛もとても強い。ものすごく察しが悪いが。

 

2018年のふじのくに←→せかい演劇祭記事はこちら。

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SPAC「顕れ~女神イニイエの涙~」2019年公演記事はこちら。

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