「東京キャラバン in 富山」をインターネット配信の生中継で観た。2019年11月3日(日・祝)15:00開演、会場は富岩運河環水公園・野外劇場。公演時間は約1時間。
リーディングアーティストは木ノ下歌舞伎の木ノ下裕一、それにダンサー・振付の北尾亘の組み合わせで、2018年9月の「東京キャラバン in 高知」と同じチームだった。テイストは異なったが、鎮魂に焦点を当てるのも同じ。
開場は運河に沿った半円形のステージで、後に運河の向こうにも半円形のスペースがあることが分かる。求心力とともに流れ去ることを感じさせるいい舞台。
荷物を抱えて歩く人々で始まるステージは、その後も大勢の人が前に進むというモチーフとして繰り返される。
国造りの神話かと思いきや、国造りの向こう側として必ず語られる黄泉の国の神話だった。まったく知識がないのだが、立山信仰(立山地獄)の話だと思われる。
地獄の絵姿が語られ、演じられ、終盤には「三途のリバーサイド」というものすごく魅力的なラップが流れて、どっぷり黄泉サイドの物語。「行かないで」という叫びが、こちらの生者の世界との間に橋を架けた。
このラップが今回の舞台を凝縮していて、すごいマッチングだった。
パフォーマンスは、ダンサーと演奏の人、合唱団、太鼓、大道芸など。大道芸はボールのコンタクトジャグリングなどいくつも要所で登場。パペットが布を動物のように操っていて面白かった。
越中いさみ太鼓の音楽は軽快。アップテンポで音が軽く、ポップスと馴染みがいい。鉦が裏打ち(1、2、3、4のリズムの2と4が強拍)なのは元から?
火山があるからとはいえ、死者が行くところ、とされた場所は、やはり厳しい環境だったんだろうと思う。黄泉の国の神話を必要とした鎮魂の思いを感じた。死んだあの人に会えると思うと、実は憧れの場所だったのかもしれない。
前回の東京キャラバンの記事はこちら。
過去の東京キャラバンの記事はこちらにまとめました。