波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

「マハーバーラタ -ナラ王の冒険-」池袋西口公園 野外劇場

マハーバーラタ -ナラ王の冒険-」
アジア文化都市2019豊島バージョン
池袋西口公園 野外劇場こけら落とし公演
製作:SPAC-静岡県舞台芸術センター
演出:宮城聰
出演:阿部一徳、美加理、大高浩一ほか

冷たい雨の晩秋の屋外公演

2019.11.23.(土)15:00開演の部を観た。今回のバージョンはこの日2回の公演のみ。

急に温度が下がって冷たい雨になった。前日のゲネプロは雨も強く、一桁の温度で厳しかったと思う。

晩秋の屋外公演90分はよく考えると厳しい環境だが、池袋の秋は屋外イベントがよくあって、いつも天気が良かったから、考えもしなかった。

ポリ袋、カイロの配布に加えて、カッパも貸していた。準備していない人がそれなりにいたから、公演する側も大変だ。

「宮城さんは雨男だから~」「△△の公演も雨だった」という声があちこちで聞かれた。そういえば私も夏の日比谷公園ク・ナウカ公演でカッパの中までずぶ濡れになる土砂降りにあったことがある。SPACは雨の野外に慣れているということらしい。

すべてのものを寿ぐ祝いの演目

 
 
 
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内容は、インドの古典叙事詩マハーバーラタ」の一部分であるナラ王とダマヤンティ姫の物語。ク・ナウカ時代の2003年に東京国立博物館で上演したのと多分ほぼ同じ。

2017年の歌舞伎「マハーバーラタ戦記」でも同じ賭博のシーンを観た気がする。(演出が宮城聰)

namiuchigiwa.hatenablog.com

SPAC公演ではおなじみのパーカッションなどの生演奏が入る。めでたしめでたしで終わる物語のラストに、台詞が歌のように生演奏に乗って、強く「寿ぐ」感じのある演目。劇場のこけら落としにふさわしい。

スピーカー(語り)とムーバー(動き)に分かれて、動きの様式美と語りの強さを強調するスタイルを採っている。多くの劇ではスピーカーとムーバーが2人1組で1人の人を表現しているが、この劇では主役2人の会話の両方を語る阿部一徳の語りがいい。

美加理と大高浩一が神々しく美しい。そして2人とも若く可愛い。すごすぎる。

衣装は和装っぽいが、見慣れてしまったからか、全体からそれほど日本っぽさは感じなかった。

森の中で動物が大事な役割を果たす。ゾウやヘビなどの動物たちがキュート。

神様は歌舞伎がキンキラキンで凄まじくゴージャスだったのに対し、こちらは4人で可愛げがあった。

池袋西口公園 野外劇場のこけら落とし

池袋西口公園 野外劇場は、東京芸術劇場の隣の公園を再整備して、劇場として使える機構を設けた。

「GLOBAL RING(グローバルリング)」という名前の頭上の大きなリングが目印。その下にリング状のステージがあり、その中が客席だった。

正面の中段が舞台という作りだが、リング状のステージはぐるっと一周回れる。一周するとそれなりの距離があるので、今回のように遠くまで旅をするという設定にぴったり。

ただ、広い舞台はないので、装置がいる内容には向かないし、使いこなせる芝居はどれだけあるのかが不安材料。紹介チラシによると、用途はほかにコンサートやダンスなど。

池袋駅からすぐでバスターミナルの横という繁華街にあるので、雨などの天候のほか、ビックカメラの宣伝の音や看板など、いろいろ五感に入ってくる。世界に開いていく、というか迫力のある内容じゃないと、環境に負けそうな劇場ではある。

面白いと思ったのは、劇場の横面にある大きなスクリーン。今回はずっと芝居を映していたので、外から芝居を観ることができたと思われる。音はもちろん筒抜けだろう。どんなものかちょっとだけ見たいという向きにはよい機会になると思う。

舞台はどうしても一部の人しか知らないものになりがちなので、街に開かれた劇場のあり方としては魅力的だと思った。

でもこれ、付帯設備の面でも劇場のラインアップという面でも、東京芸術劇場付属にした方がいいと思うんだが?