波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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バリ島の影絵人形芝居ワヤン・クリット スタソマ物語より<ガジャワクトラの巻> 光塾common contact 並木町

影絵人形師(ダラン):イ・マデ・ジュアンダ
グンデル演奏家:イ・クトゥット・ブダ・アストラほか

2019.12.27.(金)、影絵人形芝居ワヤン・クリットの師匠方が来日するというので観に行った。

ワヤンの村として知られるバリ島のギアニャール県スカワティ村に暮らす伝統的な影絵芝居の第一人者。(パンフレットより)

今回の会場である光塾common contact 並木町は渋谷南口にあるレンタルスペース。本火というわけにはいかないが、真ん中にスクリーンのある台を置き、グンデル4台の編成。裏(人形操作と演奏の側)の席から埋まっていた。

この日の物語は、スタソマ物語より<ガジャワクトラの巻>。スタソマ=仏陀が修行の旅の途中で森の動物たちと出会い、ガジャワクトラという魔物と戦うくだり。

ワヤンに使われる言葉は中世ジャワ語(カウィ語)とバリではバリ語の組み合わせ。この日は日常語のバリ語の部分をインドネシア語で語っていて、半分以上の観客はそれで分かっていたようだが、私には完全に音楽状態。

一方で、字幕を隣のスクリーンに表示するという試みがされていた。語りはアドリブなので、粗筋のどの部分かというくらいの内容だが、これですごく分かりやすくなった。

ワヤンを観るのは数回目だが、師匠はまったく別物だという感想だった。(これまで観たのも面白かったが)

まず声がいい。深みがある聴き応えのある声で、多彩な声色を使い分ける。4匹の鹿の声(といっても鳴き声)を語り分けた。動物たちの掛け合いは楽しかった。

そして、音と動きがぴったり合って、動きにキレが感じられた。戦闘シーンでは、パキっと決まるカタルシスがある。今回1時間半だったが、これはもっと長く見たい。

今回の公演は科研費を使った学術研究の一環で無料。定員30人で、整理券配布直前に行ったらギリギリだった。もう1回別演目が22日に開催される予定。

予想していないほど面白かった。また来てください。そして今度は有料公演が観たい。
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