波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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「東京ノート・インターナショナルバージョン」吉祥寺シアター

青年団国際演劇交流プロジェクト2019
作・演出:平田オリザ
出演:松田弘子、能島瑞穂ほか

2020.2.13.(木)14:00開演の回を吉祥寺シアターで観た。上演時間は約2時間。

東京ノート・インターナショナルバージョン」は、青年団の代表作の一つ「東京ノート」を7ヶ国の俳優で演じたバージョン。

舞台は東京で、内容もおぼろげな記憶(多分2000年前後に2回観た)によれば、ほとんど変わらない。

設定は2034年、いまから15年後に変わった。初演時の設定は2004年で、過去になったので変えているらしい。

前のときには未来の話と感じたという記憶があるが、今回は「いまどこか」で起きている戦争の話という印象だった。

タイやフィリピン、韓国、台湾、アメリカなどの人がそれぞれの言葉で話している。見かけもそれぞれで、舞台上が多様でにぎやかな印象。

字幕を追うのが忙しいが、どこの言葉かなと思って聞くのは、いま日本のあちこちで普通のことだろう。

仕事で日本に来ている人が多いのは近未来っぽいかな。

メインは集まった日本人の親戚の会話。終盤、これまでになく胸がつかえた。見る側の自分の変化なのかもしれない。

誰もが自分が大事にしている人との関係に絡めとられて生きている。介護を一人で背負ってしまうのも、立ち去り際に知人の分まで謝るのも、そうしなくてもいいこと。でも人は家族など人との関係の中で生きているから、自分がこうありたいという思いの中で生きているんだなあ、という感想を持った。女性像を描くのがうまくなった。

舞台の印象は、あたりが柔らか。実際にこういう多国籍の知らない人が行き交う場面があったら、もっとギスギスするだろうなあと思った。多分これまでの「東京ノート」の方が冷たい印象だった。祈りに似た感じか。

 

1998年の舞台のDVD。6ヶ国語の字幕付き。


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