東京芸術祭2020野外劇
作:如月小春
上演台本・演出:中島諒人(鳥の劇場)
音楽:不破大輔(渋さ知らズ)
出演:ホリユウキ、齊藤頼陽、斎藤友香莉ほか
2020.10.23.(金)雨のため30分遅れで18時開演。
如月小春が書いた戯曲でタイトルに記憶がある作品が上演されるので見に行った。
雨が心配だったので当日券。平日だが若干空席あり程度に客が入っていた。全席自由500円。それでもポンチョやカイロを用意してくれる。雨が上がって寒くなくてよかった。
戯曲は約30年前に書かれたもの。その時点の現在である1980年代後期のバブルの日本に、1964年東京五輪の頃の日本を重ね合わせて、盛り上がると歯止めがきかない姿を描いている。
上演台本ではその外に30年前も含めて対象化する視点を作った。
本来なら今回は2020年のオリンピックの興奮を近景に、バブルの日本を遠景に見せるつもりだったのだろう。
2020年のオリンピックが延期になったことにより、過去のオリンピックとバブルという歴史を同じように眺める形になった。多分元々の芝居にあっただろう現代への批評性は感じにくく、時代は移り行くものだという穏やかな感想を持った。
一方で、見る人の年代によるだろうが、1980年台から芝居を見始めた人間にとっては、その頃の舞台や文化・サブカルのあり方を強く感じる内容で、そちらの方で30年前から現在を問われているようで目まいがした。
盛り込まれる社会風刺や、戦争中の日本人との重ね合わせの無邪気さに、いつの間にか随分遠くに来たと思った。批評自体が非難され、冗談だった戦争中の言葉が普通に使われる現代。
でも空洞の日本人というのは今も昔もずっと言われていていてあまり変わらないらしい。
戯画的な音楽劇で、明るくにぎやかな音楽が後に残る。音楽がかっこいい。
グローバルリングで見るのは2回目だが、今回は中央に舞台を作ってその外に半円形に客席を設営。にぎやかなところなのでスピーカーから大きく音を出していて、声が俳優から聞こえないのに違和感があった。使い方がちょっと難しい野外劇場な気がする。
写真はお隣の東京芸術劇場内。