波打際の舞台日記

演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いていこうと思います。

「赤鬼」(配信)

作・演出:野田秀樹
出演:東京演劇道場のメンバーら Aチーム
木山廉彬、夏子、河内大和、森田真和ほか

2020.11.14. YouTube「芸劇チャンネル」の無料配信で観た。

東京芸術劇場シアターイーストで2020.7.27.に上演された映像で、英語字幕付き。1時間38分。

「赤鬼」はタイやロンドンなどいろんなバージョンで再演を繰り返してきた作品だ。

よそもの・異物を排除する共同体、異文化間のコミュニケーションの根本的な難しさ、などの普遍的なテーマを描く。

シンプルな構造で、野田秀樹らしい言葉遊びはあるものの、分かりやすい作品だと思う。ある意味「泣いた赤鬼」の別バージョンでもある。

無料で2週間公開するという英断に拍手。演劇になじみがない人や、公共劇場はカラオケ会場にした方が税金が有効に使えると言っている人にぜひ見てほしい。知らないものは排除しようとするものだから。衝撃を受けると思う。

白い衣装、装置のない舞台で、役者が動きで海や船を出現させていく。この演劇の豊かな創造力を見せる演出が好きだ。このあたりは前のバージョンの演出を踏襲している。

役者は東京演劇道場の若者たちが中心で、言葉を届けることの難しさを若干感じさせるが、若い希望のエネルギーを感じさせる。演劇はそれも醍醐味。

中でもとんび役の木山廉彬が良かった。難しい役だが自然に見えた。

自分は戯曲を中心に芝居を見ているので再演は見ないことが多い。でも 「赤鬼」は例外。

「赤鬼」を見るのは7回目なので、次に起きることが分かってハラハラしながら見ていた。知ってはいても、今回もラストの美しさには感動してしまった。この話は何度見てもすごい。

海の向こうに沈んでいるのはいつでも絶望なのだと思う。

 

「赤鬼」準備稿を再録した『せりふの時代』。今回限りのムックでの復刊です。


せりふの時代2021

・2009年タイバージョンの感想

namiuchigiwa.hatenablog.com

・初回版(富田靖子出演)の映像はこちら


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