作:ニール・サイモン
演出・上演台本:三谷幸喜
出演:小手伸也、山崎一、梶原善ほか
2020.12.15.(火)マチネでシス・カンパニー「23階の笑い」を観た。
上演時間110分、休憩なし。
劇場の集客対策のあれこれ
瀬戸康史をフィーチャリングしたこのキャスト、かつ三谷幸喜演出で当然即完売のはずだったのだろうが、コロナ感染不安が広がる中での公演になった。
eplusがモニター募集(無料招待と思われる)をしていたのでガラガラなのかと心配していたが、そのおかげか世田谷パブリックシアターは9割くらいの入り。
この芝居をタダで見られるのはお得すぎる。逆にいうと席が空いてたらもったいなさすぎるという感想に至った。もう募集はないと思うけど、あったら絶対応募すべし。
座席間のパーテーション
演劇は集客率100%がOKになったので左右に空席はなし。その代わりに、座席間にパーテーションが設置されていた。アクリルパネルじゃなくて、黒い不織布が座席のひじ掛けの上に立てたポール2本に被せてある。
最初に見たときには「狭そう」と感じたけれど、座ってみるとかなり快適。常設してほしい。
不織布だから近距離では透け感(実際は透けていない)があって圧迫感がない。しかも隣の人の顔が見えないから開幕を待つ間も超プライベート空間感。これはマイナス効果も生むかもしれないが。
「23階の笑い」の舞台
舞台は1950年代アメリカ。TVコメディーショーを支える作家チームの事務所の群像劇。
作者ニール・サイモンの自叙伝であると思われ、一番の若手(瀬戸康史が演じる)の視点から見たある幸福な時代の記録になっている。
ビジネス的には「奥さまは魔女」などのシットコムなどに追われ、社会にはマッカーシー旋風(赤狩り)の吹き荒れる厳しい時期だが、才能溢れる人々の活力に溢れた日々が、若い頃を振り返るような温かい視線で描かれている。
演出家三谷幸喜の放送作家時代の記憶も加わってか、全体的に温かい空気に包まれていた。
やっていることは騒いでいるだけだったりするのに、エネルギーそのものが才能なんだなあと思った。小ネタやベタなギャグの応酬も勢いがあって楽しい。
しかし本当に三谷幸喜の書いた作品といっても分からない空気感。ニール・サイモンの影響を非常に受けたんだとよく分かる。
個人芸も堪能
うまい役者揃いで個人芸も堪能した。小手伸也の奮闘ぶり、梶原善の変人ぶりはすごかった。個人的に一押しは山崎一のロシア人。あの訛りの感じは技を感じるし面白かった。
一人ずつ芸を披露するボードビルっぽさも感じた。「大地」にも通じる感じ(一人芝居はないが)なのは、感染対策で一人ずつ演技する場面が多くなるから?
行くかどうかちょっと悩む感染状況だったが、掛け値なしに行ってよかった芝居だった。
チケットはこちら→ ぴあ「23階の笑い」チケット