2021.3.13.文学座「昭和虞美人草」の文学座アトリエでの公演を、Streaming+のライブ配信で観た。アーカイブ配信あり。
上演時間2時間45分(休憩15分含む)。
舞台を1970年代初めに移し、ロックに夢中な若者たちが中心の物語に翻案した。
ちなみに私は原作は未読。時代的にも知識として知っているくらい。
ネタバレなしレベルの感想としては、喜劇だった。
だけどなんだかモヤモヤした。問いかけに答えが見つからない感じ。
多分原作を読んだ人、ビートルズやローリング・ストーンズなどを同時代で追い掛けていた人は見どころが違うと思う。
シーンの変わり目でたくさん曲が流れるし、時代を象徴する小物がザクザク登場する(雑誌「ぴあ」とか!)ので、同時代人はすごく自分の記憶が呼び起こされて楽しそうだ。
ロックへの思いの熱さがもはや思想!
写真の下はほんのりネタバレありで続けます。
劇中で喜劇と悲劇についての話を原作から引用するのだけど、登場人物が一生懸命なのだけどどこか滑稽にあがいてる感じがして、この舞台は確実に喜劇。
70年代を強調した衣装も、ブルジョワ代表みたいな部屋も、喜劇感が強い。
悲劇のようだけど喜劇というあたりや、もやもやした観劇後の感じはチェーホフに似てる。
近代だと多分「義理と個人の相克」みたいな話だったのだろうし、漱石にありがちな「新しい女」に振り回される話なんだろうけど。
70年代に舞台を移したこの舞台は、打算も理想もごちゃごちゃに自分の気持ちの中で揺れ動く若者たちの群像劇だった。
読み上げる引用の言葉がちょっと追いきれなかったのが残念。
「殿様と私」は気づかなかった。映像残ってないだろうか。
「再びこの地を踏まず-異説・野口英世物語-」の感想はこちら。