波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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黒田育世「病める舞姫」(配信)

東京芸術祭特別公演 ファンタスティック・サイト 
原案・振付・出演:黒田育世
原作:土方巽『病める舞姫
監督:宮澤響

2021.3.28.(日)アーツカウンシル東京のYouTubeで観た。

東京芸術祭特別公演ファンタスティック・サイトの企画「Undercurrents(アンダーカレンツ)」のフィルムのうちの一本で、無料配信。上映時間は22分。

黒田育世のソロダンス作品「病める舞姫」を元にした映像作品だった。

(2018年の作品の感想はこちら。そのときは正直よく分からなかった)

タイトルから分かるように、原作は土方巽の本『病める舞姫』。踊る人には有名な本らしい。

本映像は、黒田育世と、古い日本家屋が主役。

日だまりの縁側に埃が舞うのが見えるような静謐な映像が美しい。

知っている、懐かしい、と感じるけれど、建物には水道の盥以外なにもない。

板張りの廊下を黒田育世が歩む。

枝を掲げ、足の隅々まで力が込められた動きは、異形なものに感じられた。

創作への態度についての表現だろうと理解したけれど、同時に映像では古い空き家の中に残された意思のような印象もあった。

ありがたいことにアーティストインタビューも一緒に公開されている。映像の元となるダンスの作品理解の助けになった。

作品を作っている原因を常に掲げて創作し続けるという内容の話があって、その切実さが私は好きなのだなと思った。