波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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SPAC-静岡県舞台芸術センター「グリム童話~本物のフィアンセ~」(配信)

作:オリヴィエ・ピィ
演出:宮城聰
原作:グリム兄弟
映像監修:本広克行
出演:美加理、若菜大輔、阿部一徳ほか

2021.7.24.にSPAC-静岡県舞台芸術センター「グリム童話~本物のフィアンセ~」を観た。

国際交流基金の"STAGE BEYOND BORDERS"というプロジェクトで公開されていて、YouTubeで無料配信中。

STAGE BEYOND BORDERSのプログラムは本当に豪華。日本を代表するパフォーマーの舞台映像を無料で見られるのは滅多にない機会だと思う。

期間が2022年3月までの予定とはいえ、見逃したらもったいないと思うと焦ってきた。

STAGE BEYOND BORDERSとSPAC「グリム童話~少女と悪魔と風車小屋~」についてはこちら。

namiuchigiwa.hatenablog.com

本作「グリム童話~本物のフィアンセ~」は、先に公開されている「グリム童話~少女と悪魔と風車小屋~」の兄弟にあたるような作品。

SPACが初めて作品を上演した順番も「グリム童話~少女と悪魔と風車小屋~」の後で、シリーズのような形で上演したようだ。

今回の作品も前作同様にSPACが上演した舞台を映像チームが映像化。舞台装置も同じものを使っているし、ストップモーションのような演出で、語りを分離させていないのも同じ。

ストーリーもざっくりまとめると同型だ。少女が不幸になり、森で王子様と出会い、妨害に打ち勝って結婚する話。民話っぽくかなり残酷。

なのだが、前作とはだいぶ違う感想だった。

グリム童話~少女と悪魔と風車小屋~」がとってもピュアにグリム童話の怖さと幸福感を伝えるのに対し、もうちょっとメタレベルで俯瞰して見る構成になっている。

劇中で劇中劇として前作も引いているので、順番通りに見ないとちょっと分かりにくいかな?

内容は前作の方が好きだが、俳優の技量をたっぷり味わう舞台/映像として楽しんだ。

美加理を中心とした、静止の美しさが目を引く。

阿部一徳の語りのような歌は名人芸だと思う。

悪がやっぱり魅力的で、こういう人っているんだろうなあと現実に引き付けて見てしまう。幸福は偶然とか他人事って感じがする。不思議だね。