波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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平成中村座 十一月大歌舞伎 第二部

「唐茄子屋(とうなすや) 不思議国之若旦那」
宮藤官九郎 作・演出

「乗合船恵方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)」

出演:中村勘九郎中村七之助中村橋之助ほか

2022.11.17.(木)平成中村座 十一月大歌舞伎の第二部を観た。15:45開演、2演目の間に25分の休憩があった。

元々買っていたチケットがコロナで公演中止になったが、チケットぴあのリセールで入手できた。手放した人に感謝。

桜席は役者かぶりつきの特別席

桜席はこの緞帳の向こう

平成中村座は初めて。一番安い席と思って桜席を選んだら、これがとても特別な席だった。2階の通路を進んで緞帳の後ろ、つまり舞台上の舞台袖。幕が開く前の舞台上の様子が見えてテンションが上がる。役者がすぐ下にいてすごく近い!

セットの壁や緞帳の向こうになって演技が見えないシーンがかなりある見切れ席なのだが、そんなことより特別感にワクワクした。

周りの人も、幕の向こうの花道の様子をのぞくより、大道具転換に釘付け。目の前で早着替えもあって、バックステージ見学気分満点だった。気分は舞台監督。役者さんたちが最初と最後に演奏の人に正座して挨拶していて「おお、伝統芸能!」って感じだった。

宮藤官九郎作・演出の人情コメディー

幕開き(というか桜席にとってはその前から)後ろ扉が開いていて駐車場が見える。外の世界とつながったところから始めるのはいいアイディア。物語の導入を荒川良々から始めたのも同じ発想だろう。

ちらっと感想が聞こえていて若干心配していたのだが、ずっとマイルドに猥雑な作品だった。

子供たちの出番が多くてにぎやかで、元気が出る人情噺コメディー。不思議の国のアリスっていうほどアリスの世界ではない。話の元は落語だそうだし、同じく落語の大工調べのセリフとかも出てきて、落語の人情噺的な世界。

いなせな大工の橋之助がかっこいい。舞踊劇の「乗合船恵方萬歳」の方も大工だった。大工調べのセリフは早口で押したけど、もうちょっと台詞を聞かせるともっといいかな。

「大江戸りびんぐでっど」(感想記事のリンク↓)よりずっと新作歌舞伎としてこなれていて面白かった。歌舞伎役者にリアルな貧乏人は似合わなかったけど、大店のボンボンはよく似合う。ほんとになよっと見えて絶品だった。

namiuchigiwa.hatenablog.com

小屋がまるごと芝居空間

平成中村座の小屋外観

会場は浅草寺本堂裏の特設の芝居小屋。狭いともいえるけどぎゅっと親密な空間。1階の前方は平場だし、桜席じゃなくても特別感があるだろう。

会場案内の人が愛想が良くみなさん元気だった。会場まるごとどことなく芝居っぽい。

終演は18:30過ぎ。浅草寺にはまだ観光客も多かったが、仲見世はほとんど店仕舞いしていた。公演帰りに買おうと思ってたんだが店側は通常営業だったみたい。

浅草寺のライトアップ