波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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unrato『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』(配信)

作:清水邦夫
演出:大河内直子
出演:保坂知寿、大空ゆうひ、笠松はる、磯田美絵

2023.2.4. unrato『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』を配信で観た。

国際交流基金の"STAGE BEYOND BORDERS"という日本を代表する舞台芸術を紹介するプロジェクト内で無料配信されている。
その中でEPAD(緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)による舞台芸術アーカイブの作品も大量に配信されていて、こちらはEPADからの作品。

特設サイトはこちら。

stagebb.jpf.go.jp

unrato『楽屋~流れ去るものはやがてなつかしき~』は、2021年に赤坂RED/THEATERで上演された演劇作品。

清水邦夫作の有名な作品なので、この機会に観てみた。

舞台の楽屋を舞台に、女優4人がチェーホフの『かもめ』『三人姉妹』、シェイクスピアの『マクベス』、三好十郎の『斬られの仙太』などのセリフを語る競演が華やかな作品だ。

女優が女優の執着を語る凄みも魅力の一つだろう。

引用のセリフがいつの間にか始まり、虚実のあわいみたいなところに存在する芝居だと思った。登場人物の状況もそんな感じで途中から見えてくる。

マクベス』の翻訳違いで二つのテキストを語るのが興味深かった。新しい翻訳に変わるというのは言葉のトーンとしてこれだけ違うんだ、というのは上演で見るとよく分かる。

役の造形は役者や演出によって結構変わるかもな、と思った。今回、上3人は個性を活かした上手さ、一番若い人は素人っぽい感じに作ってあって、それはそれでうまいなあという感想。

一方で戦争が顔を出し、役者に限らず人生に言及してると思われるところはよく分からなかった。あの戦争はそれだけ遠くなったのだろう。

チェーホフは何度見てもピンと来ないんだが、こうやってシーンを見ると見てみたくなる。『三人姉妹』のラストの台詞は引用されるとつくづく響くのだった。

上演時間は1時間17分。