監督・編集:深田晃司
原作・脚本:平田オリザ
出演:松田弘子、島田曜蔵、緑川史絵
2020.6.7.映画「ヤルタ会談オンライン」を配信で観た。
「We Are One: A Global Film Festival」というデジタル国際映画祭の一部として、東京国際映画祭が参加。その企画の深田晃司監督特集のうちの一作として、新作「ヤルタ会談オンライン」が公開された。
期間中YouTubeで無料配信。
青年団「ヤルタ会談」のオンライン演劇映画
劇団青年団の30分くらいの演劇作品「ヤルタ会談」に、少しだけ今の空気を入れたオンライン演劇の映像の映画だった。
内容を紹介すると、アメリカのルーズベルト、イギリスのチャーチル、ソ連(今のロシア)のスターリンがTV会議をしているブラックユーモア的作品。
出演者2人は女性だし、コメディということは明白。最初と最後の「インターナショナル」の替え歌はありもの? ちょっと分かりにくいか。
歴史上の史実「ヤルタ会談」で話し合われたことをまぶしながら、参加者がきっと持っていたと思える偏見や勝手な希望をおしゃべりしている。
歴史の小ネタ(情報)満載でトリビア的な魅力で面白いけど、39分の短編だし、軽く見て笑える映画。
ヤルタ会談から今につながる線
いまこの映画を見る面白さは、今につながる歴史的背景が感じられることだった。
たとえば今も変わらない各国の態度。アメリカは自分以外には無関心だし、イギリスはその場しのぎだし、ロシアは自分の国の維持のために領土を拡張したい。
イスラエルの問題など懸案事項は全然片付いてないし。
そして、ブラックユーモアのメインの部分は人種差別意識満載の会話だ。
アジア人への蔑視とか、アジアで起きていることは遠く感じるところとか、今回のコロナであからさまに表に出てきた点だった。
いまアジアでこの映画の表現を見ると「いかにも思ってそう」と思ってしまう。欧米の人が見たらどうなんだろうか。当たり前すぎてスルーしてしまう?
オンライン演劇・映画に向いた素材
新型コロナウイルス(COVID-19)を受けて製作された作品らしく、画面は3つに分割されて、役者3人がそれぞれ登場する。
背景は1場はそれぞれの国旗、2場は国を象徴する建造物のPixabayの写真で、いかにもTV会議システムを使ったリモート映画っぽい。
画面はいかにもリモート撮影だが、リモート撮影で残念な感じはまったく感じなかった。
書き割り的なキャラクター設定と背景の印象がぴったり。
動きの少ない会話劇なので、会話がカメラと画面越しにきちんと成立すれば、不足はないのかもしれない。
特に今回はTV会議で会話をするという設定だったから、まさにどんぴしゃだった。
オンライン演劇・映画に向いた素材は探せばありそうだ。