作:オリヴィエ・ピィ
演出:宮城聰
原作:グリム兄弟
映像監修:本広克行
出演:鈴木真理子、武石守正、永井健二ほか
2021.2.24.にSPAC-静岡県舞台芸術センター「グリム童話~少女と悪魔と風車小屋~」を観た。無料配信中。
STAGE BEYOND BORDERS の無料配信ラインアップが豪華
国際交流基金がYouTubeで公開する"STAGE BEYOND BORDERS"というプロジェクトの第1弾。
"Selection of Japanese Performances"として、海外に向けて日本の優れた演劇やダンスを発信するという企画で、ラインナップがとにかく豪華。
SPACは2作品あるし、『三月の5日間』とか、ダムタイプ『2020』とか、BATIKもある! 後半は古典芸能が揃う。
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舞台を新たに映像化
本作は今回新たに作成した映像作品。
映像化のために舞台で上演し、映像チームと一緒に作った作品と思われる。
舞台芸術公園のある山の緑や、山から見た静岡の町が効果的に使われている。
ベースはSPACが2011年、2020年に上演した舞台(同タイトルなので多分)。
舞台で見るなら少し気を抜く演奏シーンにも演出を盛り込み、映像的な仕掛けも多かったのが、映像作品っぽさを感じさせた。
一般論として、舞台の方が集中度が高いけど、画面の密度の濃さは映像作品の方が高い気がする。
舞台の映像化でありながら、どちらかというと映像作品。映画好きとかにも見てもらえるといいなあ。
強度の高い異空間ファンタジー
原作はグリム童話の「手なしむすめ」という作品らしい。初めて聞いた。
原作タイトルから分かるような残酷な設定から、さらに悪意のあるメッセージのすり替えにより事態が悪化していく話。
参加するのが天使や悪魔だからいいようなもので、実はすごく怖い話だと思う。
悪魔の赤い目が怖い。すごくいい味を出している。
そして、そんな暗いストーリーなのに、少女が憧れるような愛の言葉が天真爛漫に語られる。ギャップにきゅん。
ストップモーションのような動きで、語りは本人なんだけどアフレコのよう。
すっかりどこかの森の中にいるようで、浮遊感があってキラキラした作品。
家でこんなに異空間になるというのは、まさに今のための作品だという感想を持った。
テント公演みたいに異空間が現実世界とつながるラストも素敵だった。
こういう企画が公共劇場を攻撃しているトゲを抜いてくれるといいのにな。