EPAD Re LIVE THEATER in PARCO ~時を越える舞台映像の世界~
「笑の大学」(2023年上演/8K+立体音響上映)
作・演出:三谷幸喜
出演:内野聖陽、瀬戸康史
EPAD Re LIVE THEATER
2023.7.12.(水)PARCO劇場で行われた「EPAD Re LIVE THEATER in PARCO ~時を越える舞台映像の世界~」という企画で「笑の大学」を観た。
演劇作品の映像をPARCO劇場で上映するという企画。多分お試しということを含め、チケット手数料以外は無料だった。今後の東京芸術祭などの上映では料金はどうするんだろうか?
EPADというのは演劇等の舞台作品の映像収集・活用をしている団体で、国際交流基金と組んでこちらでも数作品を無料配信している。
STAGE BEYOND BORDERS with the cooperation of EPAD - YouTube
家で見る配信は、ざっというとTVみたいなもので、集中力が不足しがちという悩みがある。
今回上映を観た感想は、体で感じる感覚がリアルの芝居と同じだということ。見るときの没入感とか、見終わった後の背筋が伸びる感じとか、芝居を観て帰るときと同じだった。しかもPARCO劇場だし。
画面は舞台前方に大きなスクリーンがあり、舞台全体が固定カメラで映し出されている。奥行感もあるし、劇場も同じなので、舞台と同じ大きさと感じた。
小さい画面で見ると多分主役が小さくて見づらいと感じるだろうけど、等身大の映像を見る分には、見たいところが見えるので演劇を見るときと同じ感覚で見られる。
音は舞台の音を録っていると思われる。初めの方はエコーが邪魔して少し聞き取りづらいと感じた。こっちがすぐ慣れたのか録音の調節の問題か。
客席の笑い声も入っていて、実際の周りの笑い声を増幅する形で、臨場感を増していた。
映像は数回にわたるカーテンコールまで続き、カメラの前の数列の観客が立ち上がって拍手する姿まで映っていて爆笑。この日はさすがにそこまでの拍手にはならなかったけど、役者が出てくるとそれなりに拍手しちゃう自分の習慣も興味深い。
映像の冒頭にはEPADのオープニング映像も用意されていて、やる気いっぱい。ラストはクレジットも表示され、その辺は映画っぽい。
それと、作品について簡単に解説した当日パンフがあった。これはすごく重要だと思う。作品についての知識ゼロだとやっぱりなかなか作品をつかみにくい。なんど配信で後悔したことか。
この日の「笑の大学」は8K+立体音響上映を前提に収録した映像なので、ほぼ文句なし、なんならこれで全国公開したらいいと思える状態だった。20年前で・もっとスペクタクル色の強い「天保十二年のシェイクスピア」の映像上映と比較して、この感想は翌日に続きます。
舞台美術の堀尾幸男の展覧会を同時開催。30分ではとても見きれなかったので感想は翌日書きます。
「笑の大学」の中でも堀尾という人が作ってくれたと言及されていたカラスの家↓
2023年版「笑の大学」
今回上演された「笑の大学」は2023年にPARCO劇場ほかで上演されたもの。上演時間は2時間弱。
前に観たのは25年前(・・・)だが話の流れはかなり覚えていた。安定の面白さ。瀬戸康史のひたむきさがいい。
話の構成は次々難癖が付くドタバタコメディなのだが、展開が落ち着いているところが名作感を感じる。ほかの演出家に上演してもらうことが前提だったからかな?
ラストを変更したと聞いていたが、確かに長くなった。希望を持たせるラストにしたのかなと思うが、以前のカットアウトしたようなラスト(勝手に熟成させた記憶かも)のキレと深さが印象に残っている。