写真は鈴木康広による「空気の人」とグローバルリング
演出:野田秀樹
出演:前田敦子、浅草ジンタ、REG☆STYLEほか
公開プレビューを見て
2022.12.16.(金)「東京キャラバン the 2nd」を公開プレビューで観た。公開プレビューの2回目。3回あるパフォーマンスは抽選が外れたので、当日先着順のプレビューはありがたかった。座席500人くらいの半分強が入っていて、出演者の知り合いが多めな感じかな?
12月の野外劇場、天気が良くて日向だと暖かかったけど(でも13℃)、真冬仕様の服装でも地面から冷えが伝わってきた。翌日の曇天は凍えたんじゃないかと。手袋だし、場が温まるのに時間がかかる。意識の半分くらい寒さに取られている。
元々は2020年東京オリンピックの関連企画で、2015年から各地でその土地のパフォーマーと野田秀樹をはじめとするリーディングアーティストが一緒に作品を作り上演してきた。締めくくりの作品は東京で、オリンピックに絡めて上演する予定だったのだろうが、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行で中止を重ねて、2022年12月の上演になった。
アイヌ古式舞踊、琉球舞踊、高校生による祭囃子に、ダブルダッチやバンド演奏、バナナミキサーパフォーマンス(?)など、そしてストーリーの部分を合わせたごった煮のパフォーマンス。
「文化サーカス」と言っているのが今回初めて分かったような気がした。次に何が出てくるのかドキドキする。すっと次の演目が始まってもったいないような気もするけど、一つずつはたっぷりと、でも次から次へと芸が披露されていく。
エンディングで別々のパフォーマンスの人が絡みながら歩いていくのが、本当に楽しそうで幸せな時間だった。沢則行の海老や魚の大道具的な被り物がポップで楽しい。
上演時間1時間、楽しい高揚感で終わると、落差のある淋しさが押し寄せた。
東京キャラバンはこれで終わりという喪失感と、ストーリーの中の人生下り坂の静かな認識と。「生まれてきて上を目指して進んでいたらいつの間にかメビウスの輪をたどって下に向かっていた」というイメージは静かにしんしんと沁みた。
同じ二重螺旋のモチーフである『半身』では確かに螺旋を上って生きる方の意識で見ていたのに、いつの間にか下に向かう螺旋にいたんだな、と。
個人的に東京キャラバンには思い入れが強かったのに何もできずに終わってしまったという思いが重なり淋しさが強まったのかもしれない。
7年間ありがとうございました。
期間限定特別公開の映像を見た感想
2023年1月27日~2月27日まで、12月17日(土)16:30開演の回の全編映像が公開された。視聴はオフィシャルサイトもしくはYouTubeのオフィシャルチャンネルから。
2回目で、個人的な思い入れが薄くなったところで見ると、ストーリーがだいぶ違って見える。いつかは人生の下り坂を降りるのだけど、都会のバタバタした人も、ゆっくりしたリズムも、みんな生命の時間を生きているというか。いろんな分野のMIXが溶け合った感じを受けた。
これまでの東京キャラバンの感想記事もよろしければご覧ください。