東京芸術祭2022
作:エミリー・ブロンテ
演出:小野寺修二
出演:片桐はいり、王下貴司、斉藤悠ほか
2022.10.26.(水)『嵐が丘』千秋楽を当日券で観た。
東京芸術祭恒例の、池袋西口公園野外劇場(GLOBAL RING THEATRE)でチケット代500円というある意味演劇お試し企画。自分はエンドエリアという円形劇場のやや後ろ側だったので100円だった。安すぎて申し訳ない。
当日券は直前抽選で、整理券は80数枚出ていた。半分くらいは入れたのでは。
「嵐が丘」といえば荒野というイメージを持っていたが、特に大きなセットがない舞台はまさに荒野に感じた。よく晴れた日だったが(真冬の服装でも風が冷たかった)、冷たい雨の日はもう吹きすさぶイギリスの冬の夜だったのでは。
嵐が丘のストーリーの中心を手際よくいくつものシーンで見せていくが、それよりも野外劇場を存分に使いつくすところに妙味があった。
最後に登場人物が消えるラストは、テントの屋台崩しの必要もなく、そのまま屋敷が荒野に戻っていくようだった。
終演して外に出てみると、こんな池袋のど真ん中が荒野になるなんて、と演劇のマジックにちょっとびっくり。
片桐はいりが複数の存在を兼ねていたり、部分的に言動分離が使われたりしているのが、分かりにくくもあるが、もやっとしたパッションを生み出していた。やたらと強い激情に突き動かされる登場人物たちを、二人、三人がかりで演じるのはありだと思う。