波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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ク・ナウカ「奥州安達原」文化学園体育館特設舞台

作:近松半二ほか
台本・演出:宮城聰
出演:美加理、野原有未、寺内亜矢子ほか

2007.2.24.(土)ク・ナウカ「奥州安達原」をソワレで観た。

舞台はまさに体育館の中で、文化学園なのでミシンが置いてある通路をアプローチとして、白い糸がバスケットのゴールと舞台空間を仕切る中を入っていく。

話は浄瑠璃の一幕で、平安時代末期の地元豪族と中央政権との戦いのある意味一場面の話。

方言(?)だし古語だしで全く台詞が理解できないので、話の筋は事前に配布されたものを読んでいたけれども漠然としか追えない。
けれどもなにか自分の中で動く感覚があって、これがすごいと思った。分からなくて動きや演出を直に感じてすごいと思えるのはなかなかない。

今回美加理は表情のほとんど見えない老女役だが、やはりすごかった。speaker(台詞の語り手)と全く別の動きでありつつ一体化する。野原有未は複雑な話を延々と説明しながらも語りで聞かせる。この辺りがク・ナウカの語りの力だと思った。

最後の部分の軽さ・明るさは、らしくはあるけれど、なんだろう、しっくり来ないという感想だった。もともと男優が女優に比べて軽いのがちょっと難の集団ではあるけれど。もれなく3つの話の朗読CDとリハーサルDVDが付いてきます。

これで宮城聰が静岡に行ってしまうので今のク・ナウカは見納めです。

一番初めに観て衝撃を受けたのは「王女メデイア」。それから公演にくっついて都内いろんなところに行った。潮風公園とかどしゃぶりの日比谷公園とか和敬塾とか。思い起こすと楽しかったなあと思うのは、劇団との幸福な関係だったといえるでしょう。個人活動が魅力的なものになることを願っています。