波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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白石加代子「百物語 阿部定事件予審調書」亀戸文化センター カメリアホール

演出:鴨下信一
出演:白石加代子

2023.11.15.(水)「百物語 阿部定事件予審調書」を亀戸文化センター カメリアホールで観た。14時開演、客席は9割くらいか。若めの人もチラホラいる。

副題?キャッチコピー?は「白石加代子阿部定」。

『百物語』は怖い話・不思議な話を白石加代子が朗読する(演じる)シリーズで、99本まで終わった後にアンコール上演が行われている。

今回は「阿部定」のみで80分。その後に笹部プロデューサーとトーク15分があった。

他の百物語はセットや動きがもっとあるが、今作は椅子があるだけの舞台で、淡々と朗読する。

スキャンダラスなあの事件の阿部定を取り調べた際の調書らしい。なので阿部定の一人語りで進んでいく。経緯はもうしょっちゅう濡れ場だらけで、調書には伏字があるが、エロティックに強調することもなく飛ばして淡々と読んだ。

話の流れは愛欲に溺れて駄目になる男女の道行の典型的な話。近松みたいという感想。

駆け落ち?して散財して遊んで、困ったことになるのは分かるだろうにと思うのだけど、1936年という時代背景があったのかな。大恐慌を経て戦争に向かうある種享楽的な時代。この事件そのものがエログロナンセンスの代表として語られるが。

加虐性被加虐性も少しは感じられるけれど、行く先を失った二人がエスカレートしていくしかない状況が見てとれた。

淡々と経緯が進み、いよいよ行き詰まったあたりからの白石加代子=定がハツラツとして見えた。そして最後は魔物が去った後のようなシンシンとした寒さ。やっぱり怖い話だった。

以下は当日紹介のあった、百物語の「時代小説」のDVDが付いた本。一本見られて1500円(税抜)は安い。