波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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マームとジプシー「cocoon」(映像上映)

原作:今日マチ子
作・演出:藤田貴大
音楽:原田郁子

2023.10.22.(日)東京芸術祭のプログラムで、マームとジプシー「cocoon」の2022年上演の映像を観た。

「EPAD Re LIVE THEATER in Tokyo~時を越える舞台映像の世界~」という企画で、会場は東京芸術劇場シアターウエスト。

cocoon

cocoon」は初演時に非常に注目を集め、2022年には全国で再演された。

劇評などから、沖縄戦ひめゆり学徒隊を思わせる、看護に動員された女学生の話、ということは知っていて、もっと抽象的な芝居だろうと思っていた。

初めの方は平和な学校のシーンが断片的に綴られる。お化粧の話とか、これは現代?と思うような。そしてこのシーンは後でも繰り返しコラージュされる。

その後は悪夢のようなリアルな地獄だった。

真っ暗な防空壕や、ガマ(鍾乳洞)の中の野戦病院の場面。

そして半分くらいは沖縄戦末期に軍から放り出された後の逃避行、というか一人ずつ死んでいく経緯を描く。ガチで見ていてつらかった。舞台の見た目としてはある意味ふわっとしていて助かった。

集団劇で、個々のキャラクターは描かれているけれどあまり見分けが付かない。そんな「みんなで」の甘酸っぱさと恐ろしさが身に染みた。

こういう真正面な戦争の悲惨さを描いた演劇が、作品の評価もあるけど話題になり、映像上映でも200席強と思われる客席がほぼ埋まるということにも感動した。関心を持たないといけないと思っている人がこれだけいるということ。

8K定点映像

今回は8K定点カメラ・イマーシブサウンドによる映像だった。

定点カメラで、劇場の舞台の場所にスクリーンがあるので、そこで演技をしている生の舞台を見ている感じがする。

拍手などの客席の音も聞こえて一体感もある。終演後は一緒に拍手。

これは演劇の映像上映の方法としては、アップで見られる映画方式もいいけど、演劇の生の感じがしていいと思う。なにより家で配信を見るよりこちらの方がいい。

ところどころ映像感が強く出る場面もあった。スモークを焚いたシーン? どういう要因なのか興味深い。