波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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『KOTATSU』シアタートラム

こまばアゴラ劇場国際演劇交流プロジェクト2023
作・演出:パスカル・ランベール
共同演出・日本語監修:平田オリザ
翻訳:平野暁人
出演:太田宏、知念史麻、荻野友里ほか

(ネタバレあり)

2023.10.14.(土)、青年団関連の演劇公演『KOTATSU』の夜公演をシアタートラムで観た。

約2時間20分、休憩なし。ほぼ満席。

平田オリザとの共同作業が多いフランスのパスカル・ランベールが、青年団の俳優に当て書きした作品らしい。

平田オリザの作品かと一瞬思った。いかにも平田オリザな語調は本人が日本語監修なので当然だが、描く世界がよく似ている。似た二人なのか、それだけ影響を与えあっているのか。

伝統的な日本を代表する正月の家庭を舞台に、国際的な行き来の深化やビジネスで変わっていく社会や、SNSに侵食される様を描いた。

舞台が日本なだけに余計に、翻訳劇だなあと思う違和感が際立つ。個人の特徴が強調されて戯画的なところとか。ぶつっと切れるシーンの切り替えも不思議。

日本文化の描き方に違和感はなく、日本社会を描くのには成功していると思う。主役の沈黙が「空虚な中心」を思わせて、そして中心として引き寄せるだけの説得力があった。

日本的な暗黙の合意は、もう共同体の外からも、中からさえも、そのままじゃやっていけないでしょ、という声が聞こえたような気がした。