波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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「やけたトタン屋根の上の猫」新国立劇場小劇場

「JAPAN MEETS・・・−現代劇の系譜をひもとく−II」
作:テネシー・ウィリアムズ、翻訳:常田景子、演出:松本祐子、出演:北村有起哉寺島しのぶ木場勝己ほか
11/23(祝)昼公演を観た。「ガラスの動物園」「欲望という名の電車」の作者テネシー・ウィリアムズのもう一つの代表作。いかにもこの作者らしい、過剰な淋しさを表す長台詞が、普通に出し物として成立させるのは難しいのではと思わせるが、2幕目(もしくは休憩)以降は人数の数だけある価値観を会話の向こうにのぞかせる、うなるほどうまい作品。今回の役者のラインアップが素晴らしく、それぞれ自分の世界を魅力的に見せていた。どの人が正しいというのではなく、コミュニケーションによってあらわになっていく価値観の相違(と類似)が描かれている作品だと思うので、魅力的というのは重要。寺島しのぶは難物と思われる説明の1幕を共感を誘うところまでこなしていたし、木場勝己の成り上がり大地主は立派な成功者だった。兄夫婦も決して悪人ではないヒール役がいい。個人的にはなんといっても北村有起哉で、いつもよりローテンションの低めの声でだらっとした感じが個人の魅力をよく出していた。スポーツマンっていうよりはインテリに見えるが、これは戯曲の指定もあるか。当日券若干並んでいたようですが、見る価値ありの作品です。写真は隣りのオペラシティのツリー。