作:三谷幸喜
演出:冨坂友
出演:相島一之、西村まさ彦、阿南健治ほか
東京サンシャインボーイズのメンバーが「12人の優しい日本人」の読み合わせ
2020.5.6.に新型コロナウイルス(COVID-19)で演劇ができない状況の中で生配信された「12人の優しい日本人」のZoomを使った読み合わせ。
近藤芳正の呼びかけで東京サンシャインボーイズのメンバーが参加して、オリジナルに近いキャスト陣になった。プラス吉田羊など。三谷幸喜も最初のコメントとプラスαで参加。
役者全員と三谷幸喜、冨坂友がZoomでそれぞれの自宅(?)からリモートで参加した。スクリーンにはその場面で舞台にいる人の画面がずらっと並ぶ。
前半1.5時間、後半1時間に分けて2部構成。前半は生配信の参加者が15000人! アーカイブで見る人もたくさんいるだろうから、そりゃあPARCO劇場(500席くらい)でチケットが取れないわけだと思った。
陪審員の議論の物語
物語は日本で陪審員制度があったらこんな議論になっちゃうかも、というまだ制度がなかったときに作られた内容。
最初に映画で見て、絶対に日本で陪審員制度は嫌だという感想を持った作品だった。議論する態度も経験もないのに集められても悲惨・・・という内容でもある。(実際の陪審員制度はもっとちゃんと運営されていると思うが)
議論の勝ち負けが自分の評価とごっちゃになる、すぐ激高する、雰囲気に流される、気分で判断する、などの面々に、観客は息を呑んだりあきれたり。
結論も流れも分かっていても途中の虚実ないまぜの二転三転するシーンは十分面白い。
リモートでも演劇は成立する!
読み合わせと言っているが、完全に演劇だった! 朗読劇ではなく、身振りの演技もあり。ただ前半は画面が遅れて、声と身振りがずれるので逆にストレスになったのだが。後半はそれも修正されてよかった。(アーカイブは直っているよう。受け手側の問題?)
若干立ち歩いたりがあるものの、基本的には机を囲んで話し合う芝居なのが、バラバラの画面間で芝居が成立した理由なのだろう。
ほかにも一幕物の会話劇で探せばいろいろありそう。三谷幸喜の作品だと「笑の大学」とか。静かな演劇もできそうだけど、間が持たないかなあ。
Zoomの参加者の表示をいじっただけだけど、幕が下りた後の挨拶も演出されていて良かった。パソコンの前でひたすら拍手。投げ銭したい。(代わりに「舞台芸術を未来に繋ぐ基金」「小劇場エイド基金」に寄付した)
人と人とが接するところに演劇はある。それはそうなんだけど、リモートでも演劇が成立することを知ってしまったので、もっともっと見たい!と思ったのだった。
・映画DVD
12人の優しい日本人 【HDリマスター版】 [ 塩見三省 ]
・2005年パルコ・プロデュース版の記事