波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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「女の一生」新橋演舞場

作:森本薫
補綴:戌井市郎
演出・出演:段田安則
出演:大竹しのぶ風間杜夫銀粉蝶高橋克実ほか

2020.11.5.(木)「女の一生」を新橋演舞場で観た。

文学座が昭和20年4月の初演以来、杉村春子主演で上演を重ねてきた有名な作品。

観る機会がなかったが、大竹しのぶ主演で上演するというので、観に行った。

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女の仕事人生の話として共感

明治38年(1905年)から昭和20年(1945年)までの40年間を生きた女性の人生を描く。

戦前の話というところから封建的な家制度で抑圧された女の一生を想像していたが、それは全然違った。それにはあまりにも主人公が男っぽく、男たちが弱々しい。

どちらかというと仕事一筋で突き進んだ人の家庭の話。主人公が男だったら今は話にできないくらい仕事に真面目で夢中。

時代的にはやや遠く、主人公に自分を重ねて共感するという感じではなかったが、女の仕事人生の話として共感するところがあった。真面目にやりきってしまって浮くところとか。

「誰が選んでくれたのでもない、自分で選んで歩きだした道ですもの・・・。」という有名なセリフは、「おおこれかー」と思ったけれど、今から見るとその矜持はすごく高く感じる。登場人物の心持ちの美しさは新派みたいだなあと思った。

がんばってきたのに思い通りにいかない、というところはいつも変わらない。戦争の焼け野原はどこかコロナに重なって見えた。

後から味わう舞台

大竹しのぶが10代の家出少女から50代の老婆(に見える)まで演じる。TVのアップじゃないという理由もあるけど、大河ドラマの登場シーンのようなギャグ感がないのがさすが。

観て興奮した!という感想ではないけれど、反復して後からじっくり味わう、見応えのある舞台だった。いろんなシーンがチラチラと思い出されて翌日も楽しんだ。

花道を使わないので、3階席でもまったく問題ない。平日だということもあるが席は余裕だったので、気になる人は安く気軽に見たらいいと思う。

コロナ禍の新橋演舞場

入場時には体温測定、消毒。座席は今も1席おきだった。帰りも規制退場。

衝撃だったのは客席・ロビーでの飲食禁止。よく見ると注意事項に書いてあるけど最近慣れてきて読んでなかった。

歌舞伎座新橋演舞場は長い休憩があって食事をするのが基本なので、銀座でお弁当を買っていくことも多い。前日に気付いて良かった。

食堂では予約のお弁当を食べることができる。蕎麦屋は予約営業。おでんはなし。

土産物屋も営業していたが、自販機以外のその場で飲食できる物の売り場はなく、ロビーは寂しい感じがした。人も少ないし。

それでもしゃべり声は結構していて、夏ごろの劇場のピーンと静まりかえった超緊張状態よりはリラックスしている感じがした。会話はお控えくださいとされているが、このくらいが持続可能レベルかな。