原作:宮崎駿
脚本:丹羽圭子、戸部和久
演出:G2
協力:スタジオジブリ
出演:尾上菊之助、中村七之助、尾上松也ほか
2019.12.25.(水)千秋楽。新作歌舞伎「風の谷のナウシカ」の昼の部を新橋演舞場で観た。先に観た夜の部(後半)の感想はこちら。
・2021年1月20日DVD/Blue-ray発売! 松竹じゃなくてスタジオジブリから発売するとは驚いた。
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オープニングはジブリ映画の世界
歌舞伎のいつもの3色の幕が開くと、「風の谷のナウシカ」の世界を伝えるタペストリー幕が登場。口上とタペストリー幕の解説があり、幕が開かれると、腐海が現れた。映画「風の谷のナウシカ」のオープニング曲が演奏される。大きな王蟲、そしてタイトル。
冒頭はまるで映画の再現のようで、世界にいきなり呑み込まれた。ジブリファンや映画が好きで来た人をしっかりと掴んだオープニング。蜷川幸雄みたいだな。
本水の立ち回りなど歌舞伎の見どころ満載
序幕が映画の部分で、2幕、3幕と世界に深く分け入っていく。
オープニング後の物語は歌舞伎らしさを感じさせる演出だった。昼の部は歌舞伎の見どころ満載。ややこしいストーリーは夜の部に任せたという感じで、場面を楽しむなら断然昼の部がいい。立ち回りに踊り、語りなど、歌舞伎の技が味わえる。
一番すごかったのは、本水の立ち回りと、続けて花道での殺陣。水の量もすごいし、切られた人が大きな水槽2つに次々に飛び込む。規模も迫力も桁違い。
それだけでも凄いのに、そのまま続けて、花道でクシャナ・アスベル組と土鬼(ドルク)の兵の合計4人の殺陣に移る。ずぶ濡れの体から水が飛び散り、花道なので(席によっては)近く、すごい迫力。
二人揃っての六方(多分)で花道を引込み、観ていた席には突っ込んでくるように見えて、おおーっという迫力だった。
メーヴェの上にナウシカが水平に乗って飛ぶ宙乗りもあった。空を飛んでいるだけだが、ナウシカといえば空を飛ぶイメージだから、なんだか嬉しい。
昼の部は王蟲たくさん
大道具的な見どころも多く、夜の部にはいなかった王蟲は、昼の部には5体はいたと思う。2本足(一人で演じる)のトリウマがかわいい。キツネリスのテトはとことん黒子が操っていた。アナログ感がかわいい。
そして重要な役割を果たしていたのが子役。ナウシカの子供時代や、遠景のナウシカ、王蟲の子どもなど、使い方もうまいし、子役の子も良かった。
服装は化粧も含め、ユパとクシャナだけが洋装。それでクシャナだけ「宝塚で美しい」という印象になるんだな。それ以外は素朴な着物姿。つんつるてんで足が出ている。ナウシカは途中から無国籍な衣装。
花道は近さがポイント
いつもは展開だけが分かればいいと安い席を選ぶ自分だが、今回は昼・夜とも1階の1等席(それしか取れなかった)。昼の部は花道の出入口のすぐそば。
これがすごく良い席で、花道がめちゃめちゃ近い。近くでみると役者が格好良い。七之助のクシャナは本気で見とれるほど。
花道の出入りは大抵駆け込んで、その早さにもびっくりした。声がめちゃめちゃ大きくてビックリする。
花道での演技は、客席に下りてきてくれたような親近感があって、1階下手側には嬉しい。小さい小屋なら絶対に良いと思った。2階以上で見えない席があるのが難点だが。実際に客席にも下りたシーンもあり、近くの人はそれはもう嬉しかっただろう。
昼の部・夜の部は続けて見たい
この日は千秋楽。夜の部を見たときとは違って、客席に着物の人が多い。あちこちで通しで見る話をしていた。歌舞伎好きさんが多かったのかな。掛け声をかける大向こうさんも複数いて、拍手が多かった。
三幕目で昼の部は終了。一つの戦いが終わったという区切りだった。昼夜続けて見ることを前提にした内容で、昼の部が終わると、続きがどうなるのか見たくなる。
昼の部で観客の心をつかみ、その勢いで夜の部では複雑なストーリーを語り世界を解き明かすという流れだった。
私はそれぞれの家の争いがどう続くのか思い出せなくて、もう一度夜の部が見たいと思った。順番通りに見るともっと分かりやすかったかな。
久石譲の映画「風の谷のナウシカ」の音楽が鳴り響いていて、一番欲しいと思ったグッズはこの音楽。残念ながらないので、映画のサントラを貼っておきます。
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