波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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パルコ・プロデュース2023「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」新国立劇場中劇場

【ネタバレというほどではありませんが、参考リンクより下に内容に関する感想があります】

作:アレクシス・ミシャリク
上演台本・演出:マキノノゾミ
出演:加藤シゲアキ、大谷亮介、細田善彦ほか

2023.4.7.(金)パルコ・プロデュース2023「エドモン~『シラノ・ド・ベルジュラック』を書いた男~」を新国立劇場中劇場で観た。

エドモン」はフランスの最近の作品らしい。「シラノ・ド・ベルジュラック」という有名な演劇作品が生まれる場面を描くドタバタコメディ。

劇中劇や製作中の場面として「シラノ・ド・ベルジュラック」のシーンも多くはめこまれている。

予備知識として「シラノ・ド・ベルジュラック」の粗筋を読んでおいた方が余裕を持って楽しめると思う。

上演時間は2時間15分くらい、休憩なし。

<参考リンク>

ストーリーはこちらのページ参照(ちょっと変更してるかも?)


星組シアター・ドラマシティ公演 ミュージカル『シラノ・ド・ベルジュラック』 [Blu-ray]


シラノ・ド・ベルジュラック (光文社古典新訳文庫) [ エドモン・ロスタン ]

劇中劇である「シラノ・ド・ベルジュラック」と同じように、作家エドモンも友人のラブレターの代筆をして恋がうまくいくというと同じ物語が展開する。そのラブレターを元に「シラノ(以下略)」ができていくというストーリー。

どこまで事実に忠実なのか分からないが、実在の人物を題材に勝手に物語を描く、という意味でも「シラノ」に重ねているのだろうと思う。

次から次へとトラブルが起き、笑いが絶えないドタバタ劇として面白かった。

役者は好演しているし、躍動する舞台を楽しむ舞台という感想。いい席取ればよかったな。一方、2階席から引いてみたときの全体的な印象としてはあっさりした感じが否めなかった。

物語の中心になっているのがラブレターによる恋。でもシラノと違い、この主人公エドモンは恋はしていない。手紙に恋をした女性を、作品を書くために利用しただけだというほど冷たい人物像でもない。悲恋の「シラノ」と重ねた割にはどっちつかずでさらっと流したところがなんかもやっとする。

話の中心は名作が生まれる場面であり、創作の苦しみと喜びなんだと思う(ホームページでマキノノゾミ加藤シゲアキもそこに共感していた)。もっとそっちに重点を置いた方が深い作品になったんじゃないだろうか。オリジナル戯曲に対するリクエストになるのかもしれないが。

19世紀末、ロートレックの時代を背景に、パリの劇場の客席にいるような感覚は面白かった。

公演はほぼ満席。平日の昼公演ということもあり9割以上が女性。押し目当てと思われる。建物入口の外にあるポスターに写真撮影のために長い列。カーテンコールは最後と見定めてから立って拍手するなど、独特のルールがあるようなのが興味深い。