作・演出:松本雄吉
音楽:内橋和久
家で見る「STAGE BEYOND BORDERS」
2023.6.25. 劇団維新派『トワイライト』を配信で観た。約2時間。
国際交流基金の"STAGE BEYOND BORDERS"という日本を代表する舞台芸術を紹介するプロジェクト内で無料配信されていた。
その中でEPAD(緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)による舞台芸術アーカイブの作品も大量に配信されて、こちらはEPADからの作品。
特設サイトはこちら。
劇団維新派は「ヂャンヂャン☆オペラ」というスタイルが特徴的。集団でリズム良く単語に分解された台詞を語り、その音でイメージを喚起する。
演劇的にいうとコロスなのだろうが、集団がユニゾンで歌い・語り、集団でフォーメーションを見せるところは、まさに関西弁のケチャ。
白い服に白く塗った中性的な顔も特徴で、映像を一目見て維新派だと懐かしく感じた。
広い野外に劇場を組んで公演する劇団で、本作品『トワイライト』は2015年に奈良県・曽爾村で上演された。
広い運動場を山が取り囲む。
松本雄吉が亡くなってしまった今となっては、なぜ見に行かなかったのだろうと改めて悔やんだ。
(東京公演はホールなど敷地が小さく・・・感想はこちら)
なんだか旅に出たよう、という感想だった。山に囲まれた映像といい、歩いていくイメージといい。どこにも行かない夏の日に見るとすごくいい。
今いる場所の座標軸を示しつつ、相対化する。今ここにいることが偶然で、移り行くものだということを思い出すと楽になった気がした。
世界は見るものではなく、その空間に身を置いて歩くもの。
そういう意味ではこの公演も、同じ空間で雨に打たれ、寒さや暑さを共有して見るべき作品だと痛感した。とはいえ配信だからこそ見られたので感謝したい。
イメージ喚起力は本当に強く、なんてことない小さなストーリーにぐっと来た。群像の影が美しかった。
劇場で見る 「EPAD Re LIVE THEATER in Tokyo~時を越える舞台映像の世界~」
2023.10.22.(日)東京芸術祭のプログラムとしてEPADのアーカイブ作品が上映された。会場は東京芸術劇場シアターウエスト、1500円。
「トワイライト」は観たばかりだけど、大きなスクリーンで見たら絶対いいと思って、再度鑑賞した。午前中から芝居を観るのは新鮮。
観客は100数十人といったところか。結構入ってる。
維新派のコロスの独特のリズムは中毒性がある。チャチャ、チャチャチャチャみたいなリズムはケチャのリズムかな?
言葉の断片で紡ぐイメージが鮮烈で、日本、そして世界に視点が広がっていく。
6月に自宅でパソコンで見たときには、青年のかつてのせつない物語にキュンキュンしたが、今回は山を越えていく、山に迷い込む、曽爾村という場の物語と感じた。
画面の大きさで視野の広さが決まるのかな。そういう意味では、曽爾村で空と山に包まれて見ると、もっと世界につながっていることを感じたのだろうと思った。