EPAD Re LIVE THEATER in PARCO ~時を越える舞台映像の世界~
「天保十二年のシェイクスピア」(2002年上演/デジタルリマスター上映)
作:井上ひさし
演出:いのうえひでのり
出演:上川隆也、沢口靖子、橋本じゅんほか
EPAD Re LIVE THEATER
2023.7.13.(水)PARCO劇場で「天保十二年のシェイクスピア」の映像を観た。
「EPAD Re LIVE THEATER in PARCO ~時を越える舞台映像の世界~」という演劇作品の映像をPARCO劇場で上映するという企画で、チケット手数料以外は無料。
昨日の「笑の大学」は上映を前提に8K・立体音響で収録した作品だったので、比較して感想を書きたい。
できたら昨日の感想もどうぞ。EPADについてもこちらで触れています。
演劇映像の爆音上映
今回の上映は市販のビデオをリマスターしたものだと思われ、アップや画面切り替えなどがあるいわゆる普通の映像だった。映像にストレスはないが横幅が短い。
音楽ライブの映画で爆音上映というのがあるけど、それの演劇版といったところ。舞台前方に大きなスクリーンがあり、劇場レベルの音量で聞ける。(劇団☆新感線関連はもっと爆音だと思うが)
それでも没入感は素晴らしく、家で配信を見るのとは大違い。準備して劇場に行く、とか若干緊張して席に座る、とかが効くんだろうか。誰かと一緒に行くなら、前後に話す、という楽しみも別物だろう。
休憩込み3時間40分くらいだったけど、長さも感じなかった。
見終わっての感想は、作品は十分に楽しめた一方で、生の芝居や昨日の「笑の大学」の臨場感の高い映像よりは、劇場という空間を共有している感じはなかったかな。映像を観てるって感じがあった。拍手が出演者にではなく上映終了時にあったのもそんな気分があったのだと思う。
固定カメラ方式 vs. 編集映像
一方で思ったのは、今回の演目は「笑の大学」の原寸大方式(舞台をそのまま舞台サイズのスクリーンに映す)だと見づらいんじゃないだろうか?
劇場も大きそうだし、舞台を袖までめいっぱい使うから、ちょっと見切れるか縮小する感じになる気がする。
それと原寸大で席が遠いともしかして見づらいかも?という予感。今回はやや後方の席だったのでアップのカットはありがたかった。
「笑の大学」8Kを後方で見た方、どうでしたか?
「天保十二年のシェイクスピア」の感想
初見。シェイクスピアの作品をいっぱい織り込んで舞台を江戸時代の日本にした楽しい作品だった。今となっては新しさを感じないのが残念だけどアイディアが盛りだくさんで、猥雑なエネルギーにも溢れていた。
そして20年(初演からは約50年)の間に社会が変わっていることも実感。今から見るとすごい男性目線。シェイクスピアの話自体もそうだけど。当時にしては女性が活躍する方だと思うが男性から見た女性だなあとつくづく思った。そういう作品もあっていいと断言するけど、当時はそれしかなかったんだよなあ。
堀尾幸男 舞台美術の記憶Ⅰ
ロビーにて舞台美術家の堀尾幸男の展覧会を同時開催。
手掛けた舞台模型や制作エピソードのほかチラシなど盛りだくさん。昼間に行けば「笑の大学」のセットもあるそうだ。
値札は制作費? 50万円前後が多く、意外に安い印象。すごいな。
三谷幸喜作品を中心に、野田秀樹作品や、中島みゆきの夜会まで。
どどーっと記憶が出てきて、あれも見た、このラストすごかった、と写真を撮る手が止まらなくなってしまった。
面白かったのが2020年に上演された「大地」の舞台模型。コロナで変更する前のプランの模型があった。これが普通だろうな。ある意味Social Distancing Versionの方が斬新で面白かった。
「大地(Social Distancing Version)」の舞台模型はこちら