2019.9.15.(日)、16(月)の2日間開催された「バリフェス CINEMA & CULTURE!」に16日に参加した。
高円寺シアターバッカスは客席40席くらいのミニシアター。純情商店街の3階にある。トークで語られていたが、商店街を歩く人はこんなことになっているとはとても思うまい。
バリで撮影されたドキュメンタリー映画の完成披露を中心に、同じ監督の別の作品、ライブパフォーマンス、トークなど、バリ島に関するものをぎゅっと集めた2日間。
「タクスゥー魂の踊り子ー」
「タクスゥー魂の踊り子ー」は2011年完成のドキュメンタリー映画。バリ舞踊の踊り手である二・クトゥット・チュニックの晩年を撮って、踊りの映像がしっかり収められている。
推定86歳のおばあちゃんはさすがにキレはなかったけれど、ジョゲ・ピンギタンという次々に役を踊り分ける踊りで、表情も踊りも変化するのはさすがだった。
孫娘の踊りももう少し見たかったかな。監督の主張を感じたし、歩くとぐらぐら揺れるカメラに撮影者を意識する作品。
「ダランの家」
今回完成披露の「ダランの家」はワヤン・クリッ(バリの影絵芝居と訳されるけど、今回の映画では人形劇というのが近い)の人形遣いのイ・マデ・シジャの一家を追うドキュメンタリー映画。
こちらは非常に主観を排したドキュメンタリーで、バリの宗教儀礼の記録のようだった。話す言葉に字幕はなし。でも別にそこは重要ではないので困らないし、解説者を感じないドキュメンタリーだった。
バリ好きには、オダラン(祭り)に参加しているような気がして嬉しい。オダランの飾りがとても立派。何をしているところか分からない儀礼もある。
面白かったのは、影なしの人形劇ワヤンがオダランでほかの出し物と同時に演じられていて、全然注目されていない様子。バロンとランダが盛大に飾られていて、ランダ(魔女)が可愛く着飾っていたのも個人的にはツボだった。
映画の中で鳴っているグンデル・ワヤンは音が澄んできれいで、でも残響がすごく強いことを知った。ちょっと目が回った。
両方の映画の後にはアフタートークがあり、私が見たのは、映画を撮った仁田美帆監督とゲストの深田晃司監督、仁田美帆監督と後から出てくる川村亘平斎さん。進行は映画ライターの村山章さん。バリの衣装を着ていて、実質的に仕切っていたのはこの人。
ワヤン・クリッのパフォーマンス
土日両日ともライブパフォーマンスがあり、16日は川村亘平斎さんによるワヤン・クリッ。スクリーンに向かって演じる後ろから、つまり影絵ではなく、人形を操る側から見るという舞台構成。映画の内容の延長線上にあって、良かった。古典の、物語に入る前の部分の上演だった。
革でできた人形は極彩色で、人形側から見るのも普通、というのは知っていたが、そちらから上演を見たのは初めて。
世界樹という一番初めと最後に出てくる葉っぱみたいな形のものが、半透明で、薄い影と合わさって、とてもきれい。スクリーンを挟んで、人形を操る側が人の世、影を見る側があの世、ということらしいが、このきれいさに執着する限り、人の世から離れられそうにない。
グンデル・ワヤンは2台。15日はグンデル・ワヤンの演奏のライブパフォーマンスがあったので、グンデル好きとしてはそちらも見たかった。
バリ三昧の二日間
ほかに、ナシチャンプルやバリコピの販売や、漫画「バリ島物語」の作者さそうあきらさんによるトークも。
小さな会場で、ロビーに貴重なバリ関係の名著が並べてあって、とても密な空気で面白かった。一日券というスタイルがぴったり。ずっといて読んでたい。前売券は売り切れて、人の密度が高い感じではあったけど、
多分バリ好きが多く集まった、とても中央線的なイベント。個人的には二日通し券を買っておくべきだった。どっぷりいて、いろいろ聞いてみたかったな。質疑応答があったらずーっと終わらなそうな参加者の関心度が熱いイベントだった。