波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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2021・2023超歌舞伎「御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)」(配信)

ニコニコ超会議2021

出演:中村獅童初音ミク中村蝶紫澤村國矢ほか

2021.4.24.に生配信された超歌舞伎「御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)」をニコニコ生放送で観た。
無料で観てるので2回追い出された。予約しておいて、1カ月以内にタイムシフトで見るという方法もある。

ニコニコネット超会議2021内の企画で、既に6年目。去年は無観客だったが、今年は客席半分での観客あり。

一つの売りである大向こう(「中村屋!」ってヤツね)をみんなで掛けるというのができないが、着物で着飾ってる人もいて、ペンライトと拍手で楽しそうだった。

ネットはもちろん画面が見えないほどのコメントで盛り上がっていた。
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今年は1時間40分。これまでの1時間に比べて長いし、物語も凝っていた。
ストーリーが複雑になった分、公式ホームページのあらすじは読み込んでおいた方がいい。本物の歌舞伎みたいだな。

義理やたくらみの物語、切腹しての長い語りなど、すごい歌舞伎っぽくて芝居を見た満足感があった。コメントの皆さんによると、有名な歌舞伎のシーンの元ネタが複数あるらしい。

京都の南座で上演することを前提に、歌舞伎サイドの気合がこれまでと違う感じがした。だんまりとか様式美の立ち回りとか、今までの舞と派手な立ち回りより数段歌舞伎の見せ場が増えた。

電話屋(NTTの屋号)の画像の美しさも進化。初音ミクの着物の光沢や質感が表現されていて、すごすぎる。動きもスムーズ。
髪の毛が樹脂フィギュアみたいなのは多分ワザとなんだろう。固体がユラユラ揺れて、立体感があった。

踊りはこれまでもあったけど、歌は超歌舞伎では初めてらしい。意外と歌が一番不自然に感じた。人の声っぽくしたからかも。

技術による分身の術も今回は自然になった。音楽を飽きずに聞かせる演出も面白かった。

もう一つの見どころが、悪役ミクと、中村蝶紫演じる悪い老婆。ひえー、こええ……。
芝居も怖ければ、初音ミクの隈取が浮かんでくる変身ぶりも怖かった。悪役ミクなので蜘蛛の糸を投げて本気で戦うのだ。

いやあこれ、舞台見たい。京都南座行きたい! 来年こそは幕張メッセ行こう。

追記 九月南座超歌舞伎

2021年9月には京都の南座で超歌舞伎の公演があった。

演目は、『超歌舞伎の魅力』『都染戯場彩(みやこぞめかぶきのいろどり)』『御伽草紙戀姿絵 (おとぎぞうしこいのすがたえ)』の3本。

2022.8.20.にBS松竹東急(TVのBS放送の無料チャンネル)で放送されたので、南座公演で初演された舞踊劇『都染戯場彩』を観た。

出演は、初音ミク中村獅童中村蝶紫澤村國矢など。

上演時間は30分。舞踊劇の方も前回2019年と比べるとかなり力が入っていて、時間も伸びた。

場面は3場あり、男女のいかにも日本舞踊から、アクション度が高い立ち回り、そして初音ミク中村獅童の紅白(途中で緑)の連獅子による毛振り。見どころ満載。

女役は女性の日本舞踊の人と思われ、生の人間っぽい感じがした。演技の質が歌舞伎役者と違うというのが発見。歌舞伎役者はどこか文楽人形っぽいというか、役者本人という感じはしないのに対して、一般的な演劇とか踊りは、本人の延長として役を作っているんだな。

それに初音ミクと、まさに超歌舞伎な演目だった。

・九月南座超歌舞伎の告知映像

ニコニコ超会議2023

ニコニコ超会議2023の超歌舞伎は「御伽草紙戀姿絵(おとぎぞうしこいのすがたえ)」の再演。

2023.4.29.(土)16時の回をニコニコ生放送の無料同時配信で観た。

出演者が増えて場面の説明要素が増えたかな? 2021年の記憶と随分印象が違う。2021年は突っ走る疾走感に興奮し、2023年は分かりやすく、とにかくかっこよかった。

コロナ対策が終了して声も出せるようになったし、出演者も接近を避けなくて済むようになったことも影響しているのだろう。

小川陽喜くん(中村獅童の息子)が台詞も立ち回りもあって大活躍だった。

映像が多分大幅グレードアップ。蜘蛛が絡む映像がスタイリッシュでかっこいい。

初音ミクの表情も以前からこんなに繊細だったかな?かわいいと初めて思った。

舞台上で黒衣カメラが撮っているのか、舞台上の視線での映像が多くて臨場感がすごかった。息遣いも音声に入って、泣きの場面がど迫力。

そしてなんといっても悪役の強度が高いのが素晴らしい。悪役ミクと、中村蝶紫、それに日本舞踊の女性たちも平家(敵)側。悪役ミクが破れてすぱっと終わるラストがせつなかった。

本編は1時間45分。アンコール?ライブ?(曲は「ロミオとシンデレラ」)まで合わせて2時間だった。

・これまでの超歌舞伎はこちら

namiuchigiwa.hatenablog.com