波打際の舞台日記

音楽ライブ・演劇を中心に、舞台の感想・意見などを書いています。

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Noism『春の祭典』『残影の庭~Traces Garden』(配信)

演出振付・出演:金森穣
出演:井関佐和子、山田勇気ほか

2023.8.11. Noismの『春の祭典』『残影の庭~Traces Garden』を配信で観た。

国際交流基金の"STAGE BEYOND BORDERS"という日本を代表する舞台芸術を紹介するプロジェクト内で無料配信されている。

その中でEPAD(緊急舞台芸術アーカイブ+デジタルシアター化支援事業)による舞台芸術アーカイブの作品も大量に配信されていて、こちらはEPADからの作品。

特設サイトはこちら。

stagebb.jpf.go.jp

両作品とも2021に彩の国さいたま芸術劇場で上演された際の映像で、『春の祭典』が大ホール、『残影の庭~Traces Garden』が小ホール。

春の祭典

春の祭典』はストラヴィンスキー作曲による有名なバレエ作品の曲。振り付けはオリジナルと思われる。集団に分かれて争い、生贄を選ぶという筋は同じだった。

病院の健診で着るような白い服を着た集団が、怯え、飛び跳ね、打ちひしがれる。ちょっと小動物っぽい。

暴力的なシーンも美しく、特に集団が同じ動きを連鎖させていくフォーメーションはとても美しかった。

残影の庭~Traces Garden

音楽は武満徹作曲の『秋庭歌一具』という組曲から。伶楽舎による演奏音源を使用している。

現代雅楽の古典だそうだ。鼓の音から始まり、邦楽の音色がまさに和の世界。それにコンテンポラリーダンスがなぜかぴったり合う。

ビビッドな照明と女性の衣装の赤が鮮やか。影を投影する技術も非常に現代的。一方で羽衣のような薄布の衣装や、男性2人の渋い衣装の色はまさに和。素に近い舞台も能舞台を感じさせた。木の精を表す能なのかな?

 

両作品ともストーリーはそれほどはっきりしないものの、設定は明瞭でイメージは鮮やか。

2作品を合わせて1時間12分。短い夢を見ているような作品だった。